ぶらり歩き

9. 小原宿大名行列                                      平成19年11月3日

 今年は甲州街道を歩くことを思い立ち、現在甲府まで歩を進めているが、その途中で通った相模湖駅に近い小原宿には約200年前の本陣・建物が今も残っており、文化の日にそこを中心に江戸時代の大名行列が再現される。

 今回は妻とふたりで、車は混雑することを予想してJRを乗り継いで相模湖駅に昼過ぎに到着する。しかし、駅前には観光案内の係りが配置されているわけではなく、少し拍子抜けした気分になる。大名行列は12時30分から始まると聞いているので、駅前の食堂で昼食を済ませ、15分ほど歩いて小原宿に着く。その途中、一回目のデモンストレーションを終えて休憩場所に向かう大名行列の一行(写真1)に出会う。殿様、侍、駕籠かき、武家女中などに扮した皆さんの顔がひと仕事終えて、何かほっとした表情をしているのが印象的である。

 小原本陣の手前にあるお店の前の駐車場では、最近はまったく見かけなくなった大道芸の代表とも言えるガマの油売り(写真2)が年季の入った口調で、一枚が二枚、二枚が四枚・・・と御馴染みの口上で観客を笑わせる。口上の途中で観客の野次が飛ぶが、少しも動じることなく、掛け合いを演じて、最後は蛤(はまぐり)に入れたガマの油を売り込んでいる。

 第二回の大名行列(写真3、4)が本陣手前からスタートする。

(1)大名行列 (2)大道芸ガマの油 (3)大名行列 (4)大名行列 
大名行列の写真 大道芸ガマの油の写真
大名行列の写真
大名行列の写真

 小原本陣(写真5)は大名の宿泊に備えて、門前に高張り提灯を掲げ、幕を張りめぐらせて大名行列の到着を待つという趣向である。肝煎りというのか、世話役というのかわからないが、着物姿の男性による大名行列の演者の紹介によれば、今年は役者を雇わずに、有志の方々で役割分担したとのことで、相模原市長がお殿様役を演じているとのことである。それで、先ほどのほっとした表情の意味が理解できた。行列は2名の露払いを先頭に、六尺、挟み箱、毛槍、弓、鉄砲、徒士(かち)、小姓、大名、家老、大名駕籠、お姫様、腰元、長持等から構成され、ただ歩くのではなく、掛け声にあわせて六尺、毛槍などお供の者が左右に身体に移動させながらの、のんびりした歩みで進んでいく。道中、このような歩き方をしたとは思えないが、宿場ではこのように威儀を正して、権威付けして練り歩いたのであろう。

 本陣に入った大名一行は茶会(写真6)を楽しんでいた。

 5月27日に甲州街道歩きで小原宿を通ったときには気付かなかったが、本陣の周囲には往時の旅籠の面影を伝える建物が残っており、かつての屋号を染め抜いた藤色の暖簾、看板を掲げている。小原の郷に展示されている明治時代の写真にあった旅籠・小松屋の建物(写真7)も当時の旅籠の様子を感じさせる装いを演出している。

 小原の郷の前では、アトラクションが催され、本陣太鼓(写真8)の豪快な演奏が観光客を楽しませてくれる。
 

(5)小原本陣 (6)小原本陣でのお茶会 (7)小原本陣 旅籠小松屋 (8)本陣太鼓
小原本陣の写真 茶会の写真 旅籠小松屋の写真 本陣太鼓の写真
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